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とある地方都市のタクシードライバーの日々の雑感

タクシー減車法案について思う事

 

もう少し自己紹介的に仕事の事を書きたかったんだけど、こういうニュースが出てたので新米ドライバーのボクが思う事書いてみます。
 
 
 
タクシー減車法案、自民部会が了承 月内にも国会提出 10/22 日本経済新聞
 
 
自民党の国土交通部会は22日午前、国が指定する地域でタクシー事業者に減車を事実上義務付ける法案を了承した。法案は公明、民主両党とも大筋合意しており、月内にも今国会へ議員立法として共同提出する。2002年にタクシー業界の新規参入と増車が原則自由化されたことで生じた過剰競争を是正する狙いだが、規制緩和に逆行するとの批判も出そうだ。
 
 法案は都市部など競争が激しい地域を「特定地域」に指定し、新規参入と増車を3年間禁止する。地域内の事業者らで構成する協議会が減車計画を作成し、この計画に基づく減車は独占禁止法の適用から除外する。協議に参加しない事業者には国が減車などを勧告・命令できる。
 
 「特定地域」に指定されるのは全国で70~80カ所とみられる。今国会で成立すれば、来年4月から施行される方向だ。
 
 タクシー業界は規制緩和によって台数が増加し、1台あたりの売り上げが減少している。09年に事業者に自主的に営業車両を減らすよう促すタクシー適正化・活性化特措法が成立したが、減車に応じない事業者がいたため業界から規制強化を求める声が出ていた。
 
 
 
確かに今、タクシーの数は多い。このblogも全部仕事中に文章打っています。待機時間等、それだけ空いた時間があるという事です。うちの地区では現在約1200台のタクシーが登録されているそうです。小泉内閣の規制緩和前は680台だったらしいから、約二倍に増えた事になります。
 
新たな顧客層の開拓、という経営努力の可能性もない訳ではない業界なんだけど、基本的には一日に人々がタクシー業界に落とすお金は決まっているモンらしいです。それをリンゴの樹になるリンゴの実と見れば、限られた実を倍に増えたタクシーが奪い合っている状態ですよね、しかも昨今の不況で実の絶対数も減っている。現場で業界の現状を肌で感じている身としては、こういう法案が出てくる状況も良くわかります。
だし、一介のドライバーとしては法案が可決され、施行されるのは正直嬉しい。楽な仕事なんてないだろ、とは思うけど、今業界が置かれている状況は正直厳しい。ウチの会社は立地条件にも恵まれていて、しかも先代の社長がヤリ手でその頃築いた基盤のお陰で健全経営らしいけど、うちの地区一番の会社が先日給料の遅配をやったらしいという噂も聞こえてきた。今の状況は経営者も現場のドライバーも誰も得していない。
 
かと言って、この法案について、僕は諸手を挙げて賛成している訳ではなかったりする。今、どんな業界だって楽に商売している所なんてない。カンナで柱を削るように必死で利益を上げている所が殆どだろう。僕が3年と少し働いた上での感想だけど、まだまだ企業として努力して売り上げを伸ばす余地はあると思う。
例えば、給料の遅配をやらかした会社は、市内の一等地にデカデカと自社ビルを構えている。このご時世にタクシー屋風情が自社ビルでもないだろう。事実、毎月現状その社屋の利息しか払えていないという話だ。
ウチの会社にしても、立地条件に恵まれている事にあぐらをかいて、ポスティングすら十分にはやっていない。大体ウチの会社の車両は支払いにクレジットカードを使えないのだ。そういう姿勢で商売している。言い換えれば、そういう姿勢でも商売が出来てしまっている。それもまた現状です。先日、僕が信頼している上司は「うちの地区の社長連中、全員バカばっかりだ」とぼやいてました。
 
Webをうろうろすれば、当然タクシー業界だけが再び規制で保護されるのはおかしいという正論も散見されます。そういう事を言いたくなる人の気持ちも十分に分かるし、ある意味それもまた事実でしょう。
僕が思うのは、この問題は是か非かで語るのではなくて、程度問題で考えた方がすっきりするんじゃないか、という事です。確かに今、タクシーの台数は多すぎる。リンゴの例えで話した通りです。一本の樹に群がるタクシーの数は倍に増え、リンゴの実は年々減っていく。そしてその状況は歩合給であるドライバーの懐に直接影響してくる。現場で肌で感じてますが、もうそろそろ限界だと思います。
ちなみに全国のタクシードライバーの平均年齢は約57歳、都内には80歳過ぎのドライバーが400人いるらしいです。昨日もウチの会社の最高齢ドライバー(75歳)がお客さんを乗せて結構派手な事故起こしました。お客さんは救急車で運ばれました。人身事故です。そういう業種である事はもう少し真剣に考えた方がいい。台数は、規制緩和前に戻すのは非現実的だし、実際もう不可能でしょう。だから、台数に関しては「適正な」所で線を引いてもらうと。
 
でも市場原理は何処かに絶対に残した方がいい。僕としてはそれは料金に関してなんだけど、地区によってはそれが過当競争になっていてそれもまたキツイという話も聞く。まあコンプライアンス云々やたらうるさい昨今なんで、料金規制を設けても、昔みたいな雲助ドライバーだらけの時代には戻らないでしょうけどね。これに関しては自分でももう少し考えたいです。
 
なんかスッキリしないんですが、仕方ないんじゃないですかね。それがいち新米ドライバーの意見です。病み上がりで体調悪いんで言いたい事上手く書けなかったけど。
 
 
 
なんかカタい事ばかり書いてるなあ。もっとゆるくて馬鹿みたいな事も書きたいんだけど。まあぼちぼちやります。