墨入りタクシーゆる~く営業中

とある地方都市のタクシードライバーの日々の雑感

音楽タクシー

一年前に担当する車が30プリウスになってから、自分の好きな音楽を聴きながら仕事してます。プリウスには純正の、FMラジオが聴けるCDデッキが付いているので、iPhoneiPod機能を使って、FMトランスミッターで電波飛ばしてまったりゆる〜く仕事出来る様になった訳です。スタンダードグレードのコンフォートにはAMラジオしか付いてないのよね、今時。

音楽好きな僕にとっては地獄から天国に引っ越したってくらい劇的な変化で、ますますこのぬるま湯の様な仕事から離れられなくなった。だって、仕事内容はただ車を安全に転がすだけ、音楽は聴き放題、待機中は読書、ネット、昼寝し放題。こんなゆるい仕事他にないでしょう。まあ地理の知識、運転のスキル等必要なモノもそれなりにある仕事だけど、なんかそういうの過不足なく全部持ち合わせちゃってる僕にとっては今となっては他の仕事に転職する理由もない。お気楽タクシー稼業、対人関係のストレスはまるで無し、日々是好日。飯もタバコも旨い旨い。

と言っても、一日中音楽を聴いている訳でもなく、朝から夕方まではお年寄りのお客さんが多いし、地元のAMラジオ局の番組も面白いので、20時過ぎまでかなあ、それまではAMラジオを聴いている。それ以降、まあ会社からの無線で走らなくなる時間帯から聴き始めるんだけど。

だし、自分が聴きたい曲ばかり流している訳にもいかないんですよね、流石に。一応仕事中だし、音量はぐっと絞るけど、お客さんが乗っている時もある訳だし。BGMに適さない、流すのNGなジャンルも多い。音楽は何でも聴く僕だけど、好んで聴くのはソリッドでラウドなロック。残念ながらそういうのは仕事中は流せない。まあ流石にそれは仕方ないよね。一応仕事中だし。

かと言ってジャズとか流すのは墨入りのこだわりとしてナシ。ラーメン屋じゃねーんだし。大体ジャズをBGMにし出したのって誰なんだ?ジャズはいつからそんなイージーリスニング・ミュージックになったんだ?僕はメシ屋でジャズ(の様な音楽)を耳にする度に、愛娘が年頃になって、洗濯物を別々に洗う様に命令されるお父さんの悲哀に似たようなものを感じる。お父さんの真価はそんなモンじゃない。お父さんの価値がここまで軽んじられると哀しくなってくる。今はイージーリスニング向けに演奏されるジャズも多いのかも知れないけど、チャーリー・パーカーバド・パウエルセロニアス・モンク等、昔は無茶苦茶ヒップ且つ尖った音楽だった筈なんだけどね。

…話ずれました。車内のBGMですね。お客さんとの間に流れる空気を読んでいると、「音が尖った音楽」は基本的にダメみたいです。ヘヴィメタなんかは絶対にNG、ヒップホップもダメですな。パンクはラモーンズ、中期クラッシュ辺りだとギリOK、ポーグスも行けるかな。でもメロコアになるとダメ。ソウルもサザンソウルはOKだけどジェームス・ブラウンはダメだったり、色々難しいです。

意外なのが、日本語の歌詞の音楽が車内BGMとしてはそぐわない事。なんでなんだろ?きっとはっきりと聞き取れる「言葉」は基本的にバックグラウンドミュージックには不必要って事なんだろうな。

ダメダメ尽くしで聴けるの無いじゃねーか、なんて感じの車内のBGM事情だけど、なかなかどうしてタクシーのBGMとしてふさわしい音楽って結構あるモンなんです。まあビートルズやらオーティス・レディングやら流しておけばほぼ間違いないんだけど、それじゃこっちも飽きてくるんで、色々工夫しながら選曲しています、たま〜にだけど、お客さんからお褒めの言葉を頂いたりもします。ホント、ごくたま〜にだけどね。

それでは次回は音楽大好きな墨入りタクシーが推す、車内BGMに合うアルバム5選、なんてエントリ書いてみましょうかね。