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とある地方都市のタクシードライバーの日々の雑感

総じて言えば、僕はこの仕事が好きだ

先日、お二人の方からこのブログにコメントを頂いた。 はてなからその旨のメールが来て、このブログの存在を思い出した位離れていたんだけど、コメントしてくれた方は、面白いブログだから良かったらまた更新して欲しいと言ってくれて。

褒めてもらえるとやはり嬉しいもので、こうして久しぶりにエディタに文字を打ち込んでいる訳です。

驚いた事に、久しぶりにiPadに入れてあったはてなのアプリを起動してみると、放置していた期間もほぼ毎日アクセスがあって。50PV位ある日も珍しくなくて。誰かが何かを求めてアクセスしてくれて、そのうちの何人かが僕が書いた文章を気に入ってくれたのか過去記事も遡って読んでくれたという事なのだろう。

2年以上ブログを放置していた間も、僕はタクシードライバーを生業として生活していた。そしてこれからも、身体が動かなくなるまでこの仕事を続けようと思っている。今の目標では70歳までかな、定年の無い仕事だから、何事もなければその歳まで働けるだろうと思っている。

どんな業界だって、どんな職場だってそうなのだろうとは思うけど、大なり小なり問題を抱えている。タクシー業界だって御多分に漏れない。というか、問題だらけの業界だ。 僕がこのブログを書き始めた時、そんな問題、業界の中にいる人にしか分からない問題を業界の外部の人に伝えたいと思ったのが書こうと思った動機のひとつだった。今回久しぶりに書き始めるにあたって自分が過去に書いた記事を読み直してみたんだけど、まだまだ伝え切れていない事もたくさんある。 僕が昔、自分に課した使命はまだ果たされていないという事だ。

何故、2年以上も記事を書かなかったのか考えてみる。理由は大きくふたつある。 ひとつは、私事なのだけど、趣味に関する別のブログを書き始めたという事が大きい。文章を書くのは大好きなんだけど、なかなかこちらの方まで手が回らなかったという事だ。 もうひとつは、この仕事に「慣れて」しまった事が大きいのだと思う。初めてこの業界に飛び込んだ時に感じた猛烈な違和感や、少し勝手が分かり始めた頃に見えてきた問題点。後は、仕事そのものもそつなくこなせる様になって、ブログに吐露したいと思うほど心が動く様な出来事にも出会わなかったのだろう。

継続は力なり、と言うけれど、まあそういう力が僕には無かったんだな。つまりは。

ただ、テレビやネットのニュースでタクシーが話題になる時、この事件ここが一番大きな着眼点だぜ、みんな気付いてるかなあ?と思ったり、または社会学者や経済学者がこの業界について語る時、ドライバー目線から見ればあんたらの言説まるっきりピントズレてっから、と思ったりした事は正直何度もあった。 そんな時、僕もこのブログというメディア持っているじゃないか、という事が頭を掠めなくもなかったんだけど、それがキーボードに向かう熱意にはならなかった。

だから、こうやって再び実際に書き始めるきっかけを僕にくれた、コメントを書いてくれたお二人の方には大変感謝しています。改めましてお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。

何故また書こうと思ったのか、についても考えてみる。 正直、直接僕の書く文章を褒めてもらった、というのが大きい。やはり幾つになっても何かで評価されるという事は嬉しい事だ。 それと、前述したけど、自分が過去にこのブログを書こうと思った動機が未だ志半ばだという事に気付いた事もある。何度かに分けて書く、と宣言した事を書いてなかったりね。

今は、はっきりとした意思を持って、志を全うしたいと思っている。

何故か、と言えば、タイトルにも書いた通り、総じて言えば、僕はこの仕事が好きなのだ。

そんな大仰な仕事ではないと思う、正味の話ね。誰にでも出来る仕事じゃないし、むしろ新たに始めるにあたってはなかなかハードルの高い仕事だとも思っている。免許の事とか、地理の知識が要る事とか、最低限の接客スキルがないといけない事とか。言うほど簡単な仕事じゃないし、僕はその事にプライドも持っている。 けど、一旦もろもろのスキルを身に付けてしまえば、後はほぼルーティンワークだからなぁ。

でもね、面白さは間違いなくある。昼間お乗せする病院通いのお年寄りとの会話や、夜中に運ぶ酔っ払いとのやり取り。いつもの道路を自分の家の廊下さながらスイスイと右に左にハンドルを切る運転の楽しさ、禍々しくも妖しい夜の街で時たまブチ当たるワイルドな出来事。 どれを取っても、掛け値無しに面白い。

だから。 僕が伝えられる事は伝えていきたい、と思っている。いい事も悪い事もね。その上で、この職業に対する理解みたいなものが、ほんの少しだけでも広がればいいな、と思う。

多分今後もそんなに頻繁には更新しないとは思います。量より質で、一本一本それなりに読める記事を書きたいから。でも、可能な限り続けていこうとも思っています。今後ともよろしくお願いします。

墨入りタクシー、今日もゆる〜く営業中です。